extra II
REVIEW


HATE ALL (2005)

■2003年に『SCUM』をリリースして以来の作品である。この『HATE ALL』は、
前作の『SCUM』にある表面を残しつつ、現在までのBACTERIAに現存する内面を
非常に巧みに表している作品と言える。まず、当然の如く聴いて耳にすることにより、
自ずと理解されるであろう楽曲の緻密さに加え、その裏側に潜む渾交とした「解ら
ない」ものがこの作品の内面には見え隠れしているのである。この提示をどのよう
に聴き捉えるかにより、ここにある音像から得る情景や印象も幾度となく変化する
であろう。これは決して曲単位では計り知れない特殊性のある作品であると思う。
「from some faraway small world」何を見るのか。何を知るのか。
【from press release / morikawa(Grand Fish/Lab)】

■'80年代半ばにノイズ・ユニットとして活動を開始し、'90年代に入ってからはバン
ド形態になりマイペースながら着実に活動を続けるバクテリア。 特にこの数年で、
凶暴で強靱なサウンドの進化にさらに加速がかかったようだ。 歪みまくったサウン
ドの中にバンド・アンサンブルのダイナミズムや高度に構築された楽曲が生み出す
カタルシスが垣 間見える。
【川上啓之 / INDIES ISSUE VOL.22. AUG/SEP.2005. 】

■メルツバウなどのノイズニストに大きな影響を受けたカワグチ(Vo,g)を中心に、
ノイジーなギター・サウンドと打ち込みによる最轟音&超音圧なカオス・サウンドを
追求し続ける日本のノイズ・ユニット、BACTERIA。その活動は10年以上にも及び、
これまでマイペースながらも録音作業およびライヴを行なってきましたが、その彼
らのニュー・アルバム『HATE ALL』がいよいよリリース!
新作として、2003年に約9年ぶりに発表されたアルバム『SCUM』以来、 約2年ぶり。
アルバムは、これまでの活動の集大成である“ノイズの到達点”を標榜した作品と
なっているそうで、マスタリング・エンジニアには、前作を“俺はこいつを渋谷の
ど真ん中、街宣バスから爆音で聴かせたい”とリスペクトするコメントをしていた
コールター・オブ・ザ・ディーパーズのナラサキが変名の goro watari名義にて担当。
黒く渦巻くインダストリアル・ビートが最轟音&超音圧で襲いかかるソニック・カ
オスをぜひともご体験ください!
【CD JOURNAL.com 22.AUG.2005.】

■3rd前作「SCUM」で凶悪性を全開させたバクテリア。2年振りの今作ではマスタ
リング・エンジニアにCOTD〜特撮のナラサキを迎え、Vo&G、B、Drの 3ピースな
がら息苦しいまでの音圧感でノイジーなヘヴィ・サウンドが迫り来る。 圧巻なのは
2部構成の「from some faraway small world」という大曲で、 クリーントーン
のGのリリカルなループ・パートから壮大な哀愁の旋律へなだらかに隆起していく様
は、シカゴのヘヴィ・インストゥルメンタル・バンドPELICANにもひけをとらない
美意識を感じさせる。
【石井孝浩 / FOOL'S MATE VOL.288. OCT.2005.】

■1980年代から活動しているバンドの、2003年に発表した 「SCUM」 に続くミニ・
アルバム。前作は海外からも高い評価を得、「ノイズの到達点」のアルバムとして
未だ存在感をあらわしている。本作でも、煙突からモクモクあふれ出る有毒煙のノ
イズの向こう側にあるだろう美しい光景を垣間見せる。そんな殺伐とした音風景が
広がるが、限りある珠玉の美しさの希少価値は恐ろしく高い。モコモコした埃っぽ
く荒削りなサウンドが、実は繊細な響きを持って鳴らされている姿はかなり衝撃的。
美しく寂しい。そんな BACTERIA の孤高の矛盾は、今回も完璧に成立している。
ジリジリと忍び寄るようにクセになる負の音は、まるで湿潤のあるFUDGE TUNNEL
のごときで、かなり鬱屈した気分になる。音にあるネガティヴなパンチ力は抜群だ。
【FOLLOW UP VOL.29. SEP.2005.】

■約2年ぶりとなるニューアルバム。10年以上活動している彼らだが、何年経って
もその迫力は変わらない。変わったとすれば、今回のアルバムはさらにノイズの頂
点を目指し、より波打つ轟音とカオスの渦に巻き込む作品を作り上げてしまったと
いうところだ。つまり、彼らの奏でる音の力が今まで以上にエスカレートしてきて
いるということ。一昨年、9年ぶりに集大成的なアルバムを出したが、今作はさらに
一歩進んだ、良い意味での荒々しさが浮き出た作品だ。
【AQUADIUM VOL.29. SEP.2005.】

■ベテランの域に差し掛かった轟音の探求者が2年振りに放つミニ。ローファイな
歪み轟音がのたうち、踊る。ナラサキによるマスタリングも功を奏してる感。
ノイズコアとグルーヴとポスト・ロックが見事合致してる。
【CD JOURNAL NOV.2005.】

■2005 mini album from Bacteria. Hate All opens with pounding, monotonal
hc/noise/industrial, but the last two tracks are a combined 20 minutes of
spacey, drawn out, quasi-industrial post-rock. Good stuff.
【Eater Of Sounds JULY.2009.】